製造業外国従業員受入制度

平成28年4月より、経済産業省主導で、製造業外国従業員受入事業という制度が導入されました。

我が国製造業の海外展開が加速している状況を踏まえ、本邦にある事業所を人材育成や技能承継等の機能を有する国内生産拠点として研究開発や設備投資を強化し、そこで確立された生産技術等を当該事業者の外国にある事業所に普及させることで、国内生産拠点と海外生産拠点の役割分担を図り、もって我が国製造業の国際競争力を強化するとともに、国内製造業の空洞化を押しとどめることにあります。すなわち、外国に製造拠点を有する本邦の起業が、製造技術の移転を行うために、海外の製造拠点で従事している従業員を日本に呼び寄せて、1年以内の研修を行う事ができる制度です。

従来から似たような制度には、在留資格「企業内転勤」や、在留資格「技能実習」がありました。

しかしながら、在留資格「企業内転勤」は、本邦での活動が「技術・人文知識・国際業務」の活動となっており、原則として製造現場での実習や現業作業は行わせることはできませんでした。

また、在留資格「技能実習」は、発展途上国に技術移転を行うという点では趣旨は共通するのですが、基礎的な技能を習得させることに重きが置かれています。また、一度技能実習を行った者を「再実習」と言う形で呼ぶことは可能ではあるのですが、ハードルが高く、現実的には厳しいものがありました。さらに受入人数枠にも制限がありました。

今回、新設された「製造業外国従業員受入制度」は、「技能実習」と「企業内転勤」の対象としている人材のちょうど中間の人材を教育するのに適した制度です。在留資格「特定活動」により、国際生産拠点での生産活動に従事することで幅広い知識やノウハウを要する特定の専門技術を修得させることが出来ます。

製造業が海外展開した場合、現地の製造体制を作るのは、なかなか大変です。従業員の質が悪く、粗悪品ばかりを作っていては、コストが嵩み、経営が悪化し、国内の本店の経営にも悪影響を及ぼす事は十分考えられます。人材育成の一環として活用を考えるのも良いかと思います。

(注意点)

① 新製品の製造や新技術の導入等のため、国際生産拠点で確立された生産技術等を普及海外生産拠点が対象です。

② 国内生産拠点が海外に移転し空洞化が助長されるようなものは対象外。すなわち、海外の新規需要を取り込むための製造拠点でなければならず、国内で販売する製品を作るための製造拠点ではこの制度は使えません。

③ 特定外国従業員の帰国後1年以内の解雇は禁止です。

(手続き)

① まず、経済産業省に計画認定申請を行います。
  ↓
② 経済産業省より計画認定を受けます。
  ↓
③ 入国管理局に在留資格認定証明書交付申請を行います。
  ↓
④ 在留資格認定証明書の交付を受けた後、査証申請を行い、本邦に入国させます。
  ↓
⑤ 入国後は、計画の実施状況等の確認の報告を経済産業省、地方入国管理局に行いま 
  す。

詳しくはこちらを御覧ください。
製造業外国従業員受入事業(リンク)

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